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時と運命の調律者
第12章 追憶編3
ちなみに。
蒼太は最初はこの申し出を、それでも拒否しようとしていた、エルヴスヘイムの冒険を通してこの世界に身を置き続ける事の大変さは身に染みていたし、それが故に“果たして自分に出来るだろうか”と自信が今一つ、持てずにいたからである。
あの時だってそうだった、“父のように立派にいたい”と言う、いわゆる自己の社会的承認欲求に端を発した冒険は(勿論、困っているエルフ達を助けてあげたい、出来るなら何とかしてあげたいと言う思いも加わっての事だったのだが)、様々な存在や、持って生まれた悪運とでも言うべきモノに助けられて結果、立派に成し遂げる事が出来たものの、それだって一歩間違えればどうなっていたかは解らない。
要するにこの世界に居続ける事自体に将来性や意義を全く見出せていなかったのだがしかし、一方でメリアリアとのことは、是が非でも何とかしようと考えていた、メリーならきっと付いてきてくれるだろうし、それにメリアリアと言う少女ならば確かに、多少の無理など跳ね返してでも“蒼太と一緒に生きる!!”と言ってくれたであろう事は想像に難くなかった、もっとも。
この時の蒼太はまだ、大人の世界の深さと複雑さと、それに伴う恐ろしさとを完全に理解し切れていなかった、“自分達が頑張れば何とかなる”、そう考えて疑わなかったのである、そんな彼の思惑というか人生の事情が一気に変わったのはそれから一月と経たない内だった。
何と無敵を誇っていた蒼太の父、清十郎がある任務の最中に戦死してしまい、時を同じくして母親である楓も、病で帰らぬ人となってしまったのだ。
大黒柱とその番とを一遍に失ってしまった蒼太の家庭に、セラフィムの授業料は余りにも重くのし掛かって来た、今までは両親が共働きで、しかも二人ともミラベルに属していたから蒼太の授業料も事実上、免除となっていたのだが、この申し出を断れば今後どうなるのかは、解ったモノでは無かった。
おそらく、今まで付いていた各種特典は機能しなくなり蒼太はこの広い世界に、たった一人で放り出される事となる。
勿論、その場合でも父や母が残してくれた遺産で暫くは食いつないで行けるであろうが、それとて永遠に続けていける訳では無い。
「君はいずれ大いなる選択の時を迎える事になるだろうが、まずはその時まで生きる事だ」
蒼太は最初はこの申し出を、それでも拒否しようとしていた、エルヴスヘイムの冒険を通してこの世界に身を置き続ける事の大変さは身に染みていたし、それが故に“果たして自分に出来るだろうか”と自信が今一つ、持てずにいたからである。
あの時だってそうだった、“父のように立派にいたい”と言う、いわゆる自己の社会的承認欲求に端を発した冒険は(勿論、困っているエルフ達を助けてあげたい、出来るなら何とかしてあげたいと言う思いも加わっての事だったのだが)、様々な存在や、持って生まれた悪運とでも言うべきモノに助けられて結果、立派に成し遂げる事が出来たものの、それだって一歩間違えればどうなっていたかは解らない。
要するにこの世界に居続ける事自体に将来性や意義を全く見出せていなかったのだがしかし、一方でメリアリアとのことは、是が非でも何とかしようと考えていた、メリーならきっと付いてきてくれるだろうし、それにメリアリアと言う少女ならば確かに、多少の無理など跳ね返してでも“蒼太と一緒に生きる!!”と言ってくれたであろう事は想像に難くなかった、もっとも。
この時の蒼太はまだ、大人の世界の深さと複雑さと、それに伴う恐ろしさとを完全に理解し切れていなかった、“自分達が頑張れば何とかなる”、そう考えて疑わなかったのである、そんな彼の思惑というか人生の事情が一気に変わったのはそれから一月と経たない内だった。
何と無敵を誇っていた蒼太の父、清十郎がある任務の最中に戦死してしまい、時を同じくして母親である楓も、病で帰らぬ人となってしまったのだ。
大黒柱とその番とを一遍に失ってしまった蒼太の家庭に、セラフィムの授業料は余りにも重くのし掛かって来た、今までは両親が共働きで、しかも二人ともミラベルに属していたから蒼太の授業料も事実上、免除となっていたのだが、この申し出を断れば今後どうなるのかは、解ったモノでは無かった。
おそらく、今まで付いていた各種特典は機能しなくなり蒼太はこの広い世界に、たった一人で放り出される事となる。
勿論、その場合でも父や母が残してくれた遺産で暫くは食いつないで行けるであろうが、それとて永遠に続けていける訳では無い。
「君はいずれ大いなる選択の時を迎える事になるだろうが、まずはその時まで生きる事だ」