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時と運命の調律者
第12章 追憶編3
 あの時のアルヴィンの言葉が脳裏にありありと蘇って来た、それにセイレーンと言う言葉についてもそれが一体、何なのか、あの時点で誰も(父や母までも)教えてはくれなかったが今、この時になってその答えを見出せた事に、そして何より、自らがその組織へと所属せざるを得ない事に、蒼太は運命のうねりと言うモノを、ヒシヒシと感じるようになっていたのだ。

「・・・どうするかね?」

「・・・お引き受けいたします」

「そうか」

 後日。

 ミラベルの執行役員室に呼び出された蒼太は、覚悟を決めた口調でそう答えた、もう自分に選択肢は無い、取り敢えずは生きてゆかねばならないのだ。

「良かった。アルヴィン老師のお気に入りの君ならば、選択を間違える筈は無い、と思ってはいたがね」

「今後はこちらの指示には絶対に従ってもらうよ、如何に君と言えども勝手な振る舞いは許さない」

「違反があった場合は、例えセイレーン内部の人間とは言えども処罰の対象となる。・・・よくよく肝に銘じておくように」

「はい」

 これでいい、これで今後の自分の処遇や立場は改善されずとも、少なくとも今まで通りの生活は保障されるだろう、それにミラベルの任務中に父は殉職しているのだから、それに対する手当も出るはずだ。

(学園にも、今まで通りに通える。・・・メリアリアとも会うことが出来るだろう)

 と、幼馴染みの少女の事を考えていた矢先の事だった。

「では君の上役と言うか、先輩としてタッグを組む相手を紹介しよう。実は本人たっての希望でな、“是非君とパートナーになりたい”と自ら志願してくれたのだよ。・・・入りたまえ」

「・・・え、えっ!?」

 厳しい世界には辟易しているのに、等と考えていた蒼太の前に現れた人物、それはー。

 蒼太のよく知る少女だった。

「メリアリア・カッシーニ君だ。君より二つほど年上だ、日本人ならば大丈夫だと思うが先輩をキチンとたてるようにな」

 そんな執行役員の言葉も、この時の蒼太の耳には入っては来なかった。
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