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時と運命の調律者
第13章 追憶編4
父が死んだと聞かされた時。
蒼太は最初、何が起きたのかが理解できなかった、信じられなかった、と言っても良いが、それほどの衝撃を受けていたのだ。
父は偉大だった、一家を養い、息子を守り、母を愛した。
戦士だったけれども優しくて、温和だったけれども諂う、と言う事は無かった。
それに何事にも冷静で、その場その場でキチンとした、理知的な対応が出来る人でもあったのだ。
現に蒼太も何度か叱られた事はあったけれどもそれでも殴られたり、怒鳴られたりした事は一度たりともなかった、常に何がいけないのかを説明して解りやすく指導してくれていたのだった。
「蒼太」
その後を追うようにして母である楓も亡くなった。
臨終の直前、病床に伏していた彼女は、それでも優しく我が子を呼んで抱きしめてくれた。
「蒼太。貴方は勇者ではなく、仁者になりなさい。お父さんみたいな立派な人になるの」
「うん。・・・解ったよ母さん」
「・・・良い子」
そう言って頭を撫でてくれた、その少し後に、楓は逝ってしまった。
お葬式は、しめやかに行われて、その最中は蒼太は俯いてはいたけれども決して泣かなかった、メリアリアは思わず泣いてしまったけれども蒼太はそれでも涙を見せなかったのだった。
お葬式が終わって、家に帰るとー。
言いようの無い寂しさが一気に込み上げて来て、蒼太はそこで初めて泣いた、正確には涙を流しながらの嗚咽に近かった、と言って良かった。
その時、メリアリアは玄関のすぐ外にいて、彼の嗚咽が漏れるのを聞いていた、一人ぼっちになってしまった蒼太が心配で心配で駆け付けた少女は、それを聞いている内に自身も堪らなくなってしまいまた泣き出してしまったのだ。
後でそれに気付いた蒼太は直ぐに家に彼女を迎え入れてー。
そして二人でただ泣いた、抱き合って、その場で泣いて泣いて泣き濡れた。
「一緒に泣いてあげる事しか出来なかった」
蒼太は最初、何が起きたのかが理解できなかった、信じられなかった、と言っても良いが、それほどの衝撃を受けていたのだ。
父は偉大だった、一家を養い、息子を守り、母を愛した。
戦士だったけれども優しくて、温和だったけれども諂う、と言う事は無かった。
それに何事にも冷静で、その場その場でキチンとした、理知的な対応が出来る人でもあったのだ。
現に蒼太も何度か叱られた事はあったけれどもそれでも殴られたり、怒鳴られたりした事は一度たりともなかった、常に何がいけないのかを説明して解りやすく指導してくれていたのだった。
「蒼太」
その後を追うようにして母である楓も亡くなった。
臨終の直前、病床に伏していた彼女は、それでも優しく我が子を呼んで抱きしめてくれた。
「蒼太。貴方は勇者ではなく、仁者になりなさい。お父さんみたいな立派な人になるの」
「うん。・・・解ったよ母さん」
「・・・良い子」
そう言って頭を撫でてくれた、その少し後に、楓は逝ってしまった。
お葬式は、しめやかに行われて、その最中は蒼太は俯いてはいたけれども決して泣かなかった、メリアリアは思わず泣いてしまったけれども蒼太はそれでも涙を見せなかったのだった。
お葬式が終わって、家に帰るとー。
言いようの無い寂しさが一気に込み上げて来て、蒼太はそこで初めて泣いた、正確には涙を流しながらの嗚咽に近かった、と言って良かった。
その時、メリアリアは玄関のすぐ外にいて、彼の嗚咽が漏れるのを聞いていた、一人ぼっちになってしまった蒼太が心配で心配で駆け付けた少女は、それを聞いている内に自身も堪らなくなってしまいまた泣き出してしまったのだ。
後でそれに気付いた蒼太は直ぐに家に彼女を迎え入れてー。
そして二人でただ泣いた、抱き合って、その場で泣いて泣いて泣き濡れた。
「一緒に泣いてあげる事しか出来なかった」