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時と運命の調律者
第15章 追憶編6
 将来的に祈禱師と言うか退魔士となった蒼太だったが、その芽生えは意外と遅くて何と11歳の誕生日を迎えた後の事だった。

 この時、蒼太はある種の霊障に悩まされており、その解決方法をアルヴィンへと頼ったことが、その契機となったのだ。

 彼曰く“本来ならば生まれて来られる筈だった、君の兄弟姉妹のスピリット達が、水子霊となって祟っている、これを鎮めなくてはならない”との事であり、“出来ればご両親に、それも至急やってもらった方が良かったのだが・・・”との言葉に彼が慌てて代理で行う羽目となったのである。

 やり方を教えてもらってからと言うもの、蒼太は懸命に祈りを捧げ続けた、どんなに疲れて大変な時でも決して欠かさず、休むことなく“貴方達を忘れてしまって申し訳ない、生まれ変わったなら来世でのご活躍とご開運をお祈りいたします”とそう言ってー。

 それを毎日二時間、ほぼ1年近く続けた、ある日の事。

 いつもと同じように水子霊達に意識を向けて祈り始めた蒼太の頭に、“もういいよ”と言う“感覚的メッセージ”が届いたのである。

 そしてその日を境にして霊障もピタリと止んだのだがこの体験は蒼太にとても大切な気付きをもたらした。

 それは“謝る”と言うことに付いてだったが“絶対に許さない”と、“一番苦しかった時期に、一番気付いて欲しかった時期に、一番謝って欲しかった時期に何の謝罪も反省もしなかったお前を、一番我等を苦しめ続けたお前の事を何があっても許しはしない”とそう言っている相手に対して、どこまでも此方を蔑んで、攻撃し続けてくる相手に対して許してもらえるように、許してもらえるまで謝り続けること。
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