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時と運命の調律者
第16章 追憶編7
 オリビア達はいつも彼等の言葉を撥ね除けていた、国の諜報網を守る事は、ひいては国民を、そして皇帝を守る事に繋がる。

 それを熟知している女王位各員からすれば、クロードらの要求は到底、飲めたモノでは無かったし、それに。

 いつもは明るいクロードだったが時折、よく判らない凄みと言うか、殺気のようなモノを放つ事があって、それもオリビア達女王位を警戒させるに至らしめていたのだ。

「蒼太お願い、クロードには近寄らないで!!」

 “彼の正体が、良く読めないの!!”と、メリアリアは度々、蒼太に忠告を行っていたモノのそれが決して間違いでは無かった事が、明るみに出る時がやって来た。

 なんと彼こそセイレーンが最優先で対処しなければならない、外国の工作員でありその人望と人脈を利用して組織内に着々と、自らの情報ネットワークを構築していたのだ。

 しかも。

 恋人であるルキナ・ウィリアムズを始めとして、その同調者数はかなりの数に登っていた、そのまま行けば文字通り、セラフィムを二分する内乱へと発展しかねない有様と化してしまっていたのだ。

 事がこの期に及んでー。

 流石のメリアリア達も、先手を打つ必要に迫られていた、このまま事態が進んだ場合、国家に残す爪痕は余りにも大きかった。

 だから。

 メリアリア達は奇襲を掛ける事にした、それも第一撃目で相手の主力を軒並み拿捕、或いは殲滅する程の熾烈で決定的なモノを。

 当然、それは外部の人間に対しては、徹底的に秘匿された、情報が漏れてしまったのではクロードを始めとする主立った面々を、取り逃がしてしまう恐れがあったからだ。

 だから表向き、メリアリア達はあくまで女王位としての中立性を保ちつつ、裏では着々と事を進めていったのだ。
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