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時と運命の調律者
第18章 メリーニとメリアリア
 任務で、授業で、修業で何か嫌なことがあっても、そしてどんなに辛いことがあっても、蒼太に抱かれるだけで、蒼太に抱きしめてもらえるだけで彼女は全てを忘れていられた。

 それに蒼太はとっても優しくて勇敢だった、普段はボサッとした黒髪の、冴えない風貌をしている彼だけれども、何だかんだ言っても困っている人がいると放っては置かなかったし、また戦いに参加した場合も、最後まで決して逃げたりしなかった。

 いつも彼女の直ぐ近くにいて時にはその身を守る盾となり、また時には道を切り開く剣となって常に彼女に寄り添い、励まし、導いてくれたのだ。

 そんな蒼太と離れ離れになってからと言うもの。

 “彼女”の時間は止まった、何をしても楽しくなく、生きる気力が湧かなかった、それでも自身を心配してくれる友人知人や両親の前では気丈に振る舞い、また任務などは真面目に、涙を堪えながら熟していった、そんなある日。

 運命は青天の霹靂とでも言うべき出来事と出会いとを、この少女にもたらした。
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