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私でよろしいのですか
第1章 私でよろしいのですか
軽くため息をつくと、クラウスは目頭を押さえながら書類から顔を上げ、ハンナが紅茶を注ぐティーカップに目をやった。


「他の者は?」

「もう休みました。夜半まで私だけです」

「そうか」


そう言ってクラウスは椅子に座ったままハンナを見上げた。


「ハンナ」


呼ばれたハンナの手が止まる。
クラウスの鋭い視線が自分に向けられているのを視界の端に感じた。


「おいで」


ハンナは黙ってティーポットを置くと、クラウスが座る椅子の方へと回った。


「私でよろしいのですか」

「お前がいい」


クラウスはそう言ってハンナの腕を引き寄せた。
ハンナは黙ってそのままクラウスに顔を寄せる。

クラウスはハンナの頭の後ろに手を添えると、小さな唇を軽く啄んだ。
クラウスの膝の間にハンナは立ち、肘掛けに両手をついて軽く瞼を閉じる。


「そこじゃないだろう?」


ハンナの唇を食みながらクラウスが囁く。
ハンナは目を開けてほんの数秒逡巡すると、脚を広げてクラウスの膝の上に跨った。


「いい子だ」


クラウスが口の端で笑うと、ハンナはその薄い唇に吸いついた。
ゆっくりと、控えめに、輪郭を舌でなぞる。

チロチロと誘うようにクラウスの唇を這う舌に、肉厚の舌が応えた。
唇の間にねじ込まれた舌がハンナを掴まえて絡まる。
そのままハンナの奥深くまで犯していく。

クラウスになされるがまま咥内を貪られると、それまで表情が変わらなかったハンナの頬がうっすら赤く染まっていた。


「はっ……んっ……」


息を吸おうと口を開けると同時に漏れる甘い声。
その声を拾うようにすぐにクラウスの唇が塞ぐ。


「あっ……んんっ……ふぁ……」


クラウスの肩に置く両手に力が入る。
唇を強く吸われ、擦られる舌が気持ちが良くて、無意識に揺れる腰の奥がどんどん痺れてくる。

その揺れる腰に沿う大きな手は、ハンナの身体を優しく撫でながら背中へと伝い、うなじにあるワンピースのファスナーを静かに降ろした。
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