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心より先に体を繋ぐ
第1章 酒に酔わせて
『仕方ないな。いつもの店でいい?』
「持つべきものは友達だね。できれば、家きてくんない? 絶対ボロボロ泣く……」
『店でボロボロ泣かれるのは困るな。それよりいいの? 一応男だぞ?』
「みきちゃん一筋の健斗なんて怖くないよ(笑)何? 意識してんの?」
『一応だよ。みきちゃんと次の日やっとデートなのに、ゆりとか悪いけど眼中にないわ』
 イメージ通りに流れていくメッセージに満足しながらも、そのメッセージに傷ついている自分がいた。
 大丈夫、きっと上手くいく。
 時間と待ち合わせ場所を決めて、私は早く明日がくればいいと思っていた。

 互いに急な残業も入らず合流した私たちは、スーパーでお酒とおつまみを買って私の家に帰る。
「思ったより家綺麗じゃん」
「思ったよりは余計ですー」
 そういいながらも心の中でガッツポーズ決める。
 そんなに家事に苦手意識はないが、常に手入れをする程綺麗好きでもないため、綺麗な状態を維持するのは苦労する。
 それでも頑張った甲斐があったというものだ。
 健斗には適当にくつろいでもらい、私は冷蔵庫から作り置きしていた料理を片っ端からレンジに突っ込んで温めていく。
 皿に移して机に並べると、健斗が目を丸くしていった。
「えっ、ゆりが作ったの? めっちゃ出てくるけど」
 口角が上がりそうになるのを抑えながら、冷静に私は返そうと声を抑えた。
「現実逃避しながら作ってたらさ、一人で食べきれない量になっちゃって。遠慮なくどんどん食べてね」
 私たちは和やかに食事を始めた。少しずつお酒も飲みながら。
 チューハイ二本で健斗は完全に酔っぱらう。
「ねぇ、三城ちゃんとはどうなの?」
 そう聞けば健斗はご機嫌で話し出した。お酒を飲むスピードも上がる。
 私は健斗が何本飲んだか分からないようにさりげなく缶を片づける。
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