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第3章 遊郭街に異世界転生！？

「俺の名前は棆(りん)、あんたは？」

「華…です」

長い前髪の間からは眠たげな垂れ目が覗いている。
面接のつもりなのか手には書類があった。

「主な仕事はスタッフのケアと世話だ。まぁ飯は栲くんが作ってくれるし、宣伝とか裏方の仕事は俺と柁さんと柵さんがやってるから…」

「あの、私働くんですか…」

「そうだよ、行くとこもないでしょ？」

確かにここは今まで私がいた世界とは違うようだし、行く場所など無い。
仕事をしないと食べてもいけないし、これはチャンスなのかもしれない。
ここで働きながら元いた世界への戻り方を探ればいい。

「でも、ここって…」

「あぁ、疲れた女の子を心も体も癒して差し上げる男遊郭だよ」

「…お、女の私が働いてもいいんですか？」

「確かにイレギュラーだな〜全く柁さんと柵さんが一目惚れでもしたんだろうよ…」

「は、はぁ…」

「服なら杭(わたる)くんか栲(ぬるで)くんが作ってくれるだろ…あとは寝床か…」

ボサボサの髪をわしわしとかきながら、棆さんは書類とにらめっこをしている。
とてもお客様の相手をする人には見えない。

「あ、俺は客の前には出ない。女を扱うのは下手なんでね、向いてねぇんだよ」

「な、なるほど…」