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第2章 美和子の部屋
「……」

 彩乃は美和子の問いに答えられない。

 否定は白々しいし、肯定はなんだか危険な香りがする。

「わたしたち、これから美和子さんのマンションに行くのよ」

 エイコが意味ありげな笑みを浮かべながら言う。

「彩乃さんも、来ない?」

「えっ?」

 突然の言葉に彩乃は動揺する。

「で、でも……」

「そうだわ、それが良いわ。もし用事が無ければなんだけど……」

 躊躇う綾乃に美和子は笑み見せる。

「……どうかしら?」


 彩乃の脳裏に昨夜観た動画が思い起こされた。

 あれは手の届かない映像だが、これは違う。


 不意にむらむらしてきた。乳首と股間が疼いてきた。


「……用事はないけど……」

 彩乃が答える、喉がからからになっている。

「でも……」

「じゃあ、オーケーね!」

 エイコは言うと、彩乃の右手を握る。思いのほか強い力だ。

「この先のデパートの駐車場に車を停めてあるから、それで行きましょう!」

「こらこら、まるで自分の車みたいに言わないで」

 美和子が言い、彩乃の左手を握る。こっちは優しい握り方だ。

「わたしの車なのよ」 

 彩乃は二人に連れられて「園」へと降りた階段を昇る。
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