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第2章 美和子の部屋
「……わたしが自覚したのは中学二年くらいだったかな?」

 運転しながら美和子が話しだした。

「部活の先輩で…… わたし下手糞だったけど女子バスケ部だったの。部長でキャプテンのヒロコ先輩に憧れていて。もちろん、部員全員の憧れだったけど、わたしのは他の娘たちと違っていたのよね。好きの度合いが違っていたみたい。それからかなぁ、わたしってそうなんだ思ったわ」

「そんな風には見えなかったけど……」

 彩乃が戸惑いを隠せずに言う。

「美和子って、男子とも積極的に話をしてたじゃない?」

「話していただけよ」

「結構、男子にも人気があったじゃない?」

「迷惑だったわぁ」

「そうだったんだ…… わたしみたいなのから見ると、羨ましかったわ」

「彩乃って、影薄かったもんね。でもさ…… 実はわたし、彩乃が好きだったのよね」

「わぁ! 愛の告白ぅ!」

 エイコが言って手を叩いた。

「良いなぁ、わたしも誰かに告白されたいぃ!」

「こら、エイコ、茶化すな!」

 美和子が笑顔で叱る。

「まあ、エイコとはいわゆるセフレってやつかな? 今日、エイコが空いているって言ってきたから、わたしも有給取ったのよね」

「じゃあ、どうしてお店に?」

 彩乃が不思議そうな顔で訊く。

「どうしてかなぁ…… 何となく寄ったんだよね」

「きっと、愛の女神のお導きよ!」

 エイコは自らの言葉にうなずく。

「美和子さんと彩乃さんは、こうなる運命なのよ!」

「……エイコさんって、あのお店で働いているの?」

 彩乃は変な方向に行きそうな話を戻そうとする。

「いいえ、わたしはバイト。調理師の専門学校の一年生なの」

「そうなんだ…… わたし、てっきり高校生かと思った……」

「童顔だから、そう見えるのよね」

「違うわ、精神年齢が成長していないのよ!」

「あ、美和子さん、ひど~い!」

 二人は楽しそうに笑う。
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