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第2章 美和子の部屋
 エレベータの中も、七階の通路も、三人とも黙っていた。

 ただ、美和子とエイコはべったりと寄り添って歩いていた。

 彩乃は一人むらむらしながら歩いていた。

「ここよ」

 美和子が言う。南の角部屋だ。

 鍵を開け、入って行く。エイコも「お邪魔しま~す」とおどけた言い方をしながら入って行く。ドアが勝手に閉まって行く。

 閉まる直前でドアは止まり、開いてきた。

 エイコが顔を覗かせ、手招きをする。

 彩乃はため息をついて入って行く。


 玄関から正面にリビングに入るドアまで、白い壁紙の貼られた廊下が伸びている。

 廊下の左右にはドアがあり、それぞれが部屋になっている。

 リビング手前に向かって左にトイレ、右に風呂があった。

 美和子とエイコはリビングへ進む。彩乃もそれに続いた。

 一人暮らしにしてはずいぶんと広かった。


「彩乃、何か飲む?」

 美和子が言いながら冷蔵庫を開ける。

「……と言っても、缶ビールしかないや」

「わたしそれでいい!」

 エイコが笑いながら言う。

「まだ未成年だけど、いいでしょ?」

「う~ん、どうしようかなぁ…… エイコってお酒に弱いからなぁ……」

「じゃあ、一回終わってから……」

「ふふふ、がっつき屋さんねぇ……」

 美和子とエイコは抱き合うと、キスをした。

 舌が絡み合っている。


 彩乃は立ったままで二人を見ている。


「あ、彩乃はそのソファに座っていて……」

 美和子はエイコから唇を放して言う。

「そして、わたしたちを見ていて……」

「わぁ、見られるなんて、興奮しちゃう……」

 エイコが言って、彩乃を見る。

「その気になったら、入って来てもいいのよ」

「こらこら、彩乃はあくまでもお客さんよ」

 美和子は言うと、エイコとキスをする。

 長いキスだった。

 それが火付けとなったのか、それからの二人は、彩乃の存在を忘れたように盛り上がって行った。

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