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新解釈 紺屋の女房
第3章 久蔵と花魁の出会い

童貞を捨てると言ったって、
久蔵の童貞はとっくの昔に
女将さんに捧げたのだから
誰でもよかった。

「では、この子にしようかね」

久蔵が指名した女は、
名をお鈴という肉厚の唇の醜女(しこめ=ブス)であった。

かなりの安値であった、
それは醜女(しこめ)ゆえに誰にも買われずに
毎晩油を売っているようなものなので
投げ売りしているようなものだった。

思いがけずにお鈴を買ってもらったものだから
茶屋の親父は喜んだ。

「では、しっかりと楽しむがいい」

吉兵衛もまたそれなりの女を買い、
違う部屋へと消えていった。

「あちきを買ってくれて嬉しいわいな」

お鈴は猪口(ちょこ)を持てと催促する。
買ってくれたお礼にお酌をさせてくんなましと
徳利(とっくり)を手にしてお鈴は微笑んだ。

「いえ…私は元服(げんぷく)したばかりで
酒は呑めないんだよ」

呑めないというよりは呑んだことがなかったので
少し躊躇(ためら)っていたのだ。

「あらあら…
お初心(おぼこ)い顔をしていると思うておりんしたが、そうでありんしたか…」

話し方がゆっくりで
別世界に迷い込んだと思わせた。

そのように告げると
「そうでありんす…
此処(ここ)は浮世離れの遊郭(ゆうかく)…
すべてを忘れてあちきと楽しむでありんす」

酒の口当たりをまろやかにさせていただきますと
お鈴は徳利(とっくり)から酒を自らの口に含むと
久蔵の口に吸い付いてきて
酒を流し込んでくれた。

生まれて初めての酒を
お鈴の口から呑ませてもらった。

たちまち胃の腑(ふ)が、かあーっと熱くなり
度胸がついた気になった。

「さあ、あちきを見んなまし」

お鈴は着物の裾を開いて股間を見せた。
お鈴の股間は女将さんのアソコと違い
若い匂いが漂っていた。
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