この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
新解釈 紺屋の女房
第1章 染物屋「紺屋」の女将
そこへ廁(かわや=トイレ)から
丁稚見習いの久蔵が用を足して出てきた。
誰びとも覗いてはならんという言葉を
ちょうど腹を下して廁(かわや)に行っていた久蔵は
聞いていなかった。
それゆえ、女将さんの喘ぎ声が何事かと
思わず襖を開いた。
見知らぬ男が女将さんを裸にしてのし掛かり
激しく腰を振っているので驚いた!
「あんた!うちの女将さんに何をしとるんじゃ!」
一喝された草庵は素早く珍宝(ちんぽ)を引き抜き
乱れた着物の裾を直してイチモツを褌(ふんどし)に収めた。
「ご新造(奥さん)、治療の続きはまた今度だ!」
そう言うと身支度を整えて
そそくさと飛び出して帰っていった。
女将のお玉は素早く布団を被って裸体を隠した。
草庵が飛び出して帰ったので
治療が終わったのだろうと
店の主人である吉兵衛が
様子を伺いに部屋へやってきた。
「すっかり良くなったかい?」
何も知らぬ吉兵衛はお玉に優しく声をかけた。
「ずいぶん良くなりましたが、
あともう少しというところで
この馬鹿が襖を開けたものだから
治療効果が薄れてしまいました。
明日もう一度、草庵先生に診てもらいたいの」
と、吉兵衛に甘えた声を出した。
「なに?もう少しのところを?」
この馬鹿野郎と、吉兵衛は久蔵の頭を叩いた。
「よし、明日もう一度、
お加代に先生を連れてきてもらおう
お前は安静にしておくんだよ」と告げて
吉兵衛は店の方に戻っていった。
ほんとに、お前は馬鹿なんだから。
馬鹿は馬鹿なりに、
先ほど見たことは他言無用だよと
女将さんに睨まれたので
久蔵は「へえ…」と返事をして項垂(うなだ)れた。