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第4章 Day 3

「真子さん、口ではそう言ってますけど、真子さんの瞳はそう言ってませんよ」

本当にそうなのだった。

それは先日の妄想のせいだということもわかっていた。

真子の瞳は洋介の想いを倍にして返そうとする感情の象徴、真子の言葉は洋介の想いを半減させて返そうとする理性の象徴だった。

今の真子が理性に勝てるはずがなかった。

洋介はそれを見透かしたように再度唇を重ねた。

今度はさらに深く舌を絡め、真子の抵抗する力を完全に奪うかのようだった。

真子は観念した。
観念するべくして、と言うべきかもしれない。

積極的に舌を絡め返すということはしなかったが、彼の舌を完全に受け入れ、甘美な陶酔に浸ったのだ。

次に何が来るかはわかっていた。

「コーチ、お願い。車の中です……」

「車じゃなかったら良いんですか？」

「…………」

「また会ってください。良いですよね、真子さん」

「う……ん……」

とりあえず今日は回避した。
最後までは行かなかった。
しかし次回の約束をした。。。

最後の一線を越えなかったことに安堵はしたが、それが恒久的なものではないことは真子もわかっていたし、それが短期間で脆くも崩れ去るだろうといことも確信に近いレベルで直感していたのだった。

なぜなら、洋介の攻撃に何よりも真子の肉体が敏感に反応し、心の奥底で洋介を求めていることを理性ではなく感性で分かっていたから。

真子が堕ちるのも時間の問題だった。