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好きになってくれてありがとう
第9章 父からの連絡
何度断っても翼さんは引き下がってはくれなくて私は渋々受け取った。
そして、何かあればこれを渡してから帰ってくるといいと一枚の名刺を一緒に渡された。
それは翼さんの名刺だった。
でもいつものものと違う仕事では使うはずない名刺だった。
そこに書かれていたのは百貨店の名前でも役職でもない名刺だった。
名刺には『藤堂グループ社外取締役 藤堂翼』と書かれていた。
私は目を点にしていると翼さんはちゃんと説明してくれた。
藤堂グループで大きな取引や商談など大事なときは社外取締役として出席することもあると。
今まで知らなかった翼さんの一面を知ることができた反面、やっぱりすごい人なんだと思い知らされる。
「理恵は何も心配しなくていい。俺と慶太に少しだけ任せてくれたら必ず解決するから。」
私はありがとうと伝えて寝室に戻った。
バッグにもらった封筒と名刺をしまって明日父と母に会いにいくために早めに寝ようと布団に入って目を閉じた。
そして翌日、実家に向かう私を駅まで送ってくれた翼さんは仕事へ、私は電車で実家へと向かった。