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好きになってくれてありがとう
第9章 父からの連絡


「お母さん…」

そんな呼びかけに応えてくれるはずもなく私は隣の椅子に腰を落として母の手をずっと握っていた。


どうしてもっと早く家族に相談してくれなかったの?と問い詰めたいけど母の性格を考えると家族を優先したことがすぐにわかる。


私はピッピッと定期的に聞こえてくる機械音を聞きながら考えていた。


それはこれからの私たちのことを。


卓也はどんな手を使ってくるか分からない。
母だけではなく父にも接触してくる可能性がある。

たった3人だけの家族。
私には兄弟はいない。小さい時からずっと3人だけの大切な家族を守らないと。


私は翼さんに内緒である決意をした。
そして彼の元から離れる事も。


ナースコールをして看護師さんに来てもらい少しだけ病室から離れたいことを伝えた。

しばらくしてきてくれた看護師さんに電話したいからと通話可能エリアに向かいある人に電話をかけた。


それは直属の上司の翼さんではなくその上の人物。



「高山専務。お願いがあります。」





私は退職したいことを伝えた。
残っていた有給をこのまま消化し退職したいと。

今の状況も軽く話すと高山専務は分かった。このまま退職を許可しようと言ってくれた。


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