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好きになってくれてありがとう
第11章 家族に報告
怒っているような声のトーンで私をがっちりと抑え込んでいる。
警戒しているのはそれからずっと離れてくれなかった。
「ご挨拶が遅れました。私、セールスマネージャーの佐々木と申します。」
先輩は丁寧に名刺を出し挨拶をした。
その名刺を受け取り自分も自己紹介する翼さん。
「藤堂翼です。」
翼さんが出した名刺はデパートのものではなかった。
藤堂グループの社外取締役の名刺だ。
「藤堂グループの藤堂様ですか。」
「えぇ。今はデパートで部長として勤務していますがもうすぐ退職予定です。その後は藤堂グループの会社の取締役に就任しますのでそちらを。」
「そうでしたか。
では先程サイズは7号と分かりましたのでいくつかお持ちいたします。」
先輩はその場からいなくなり二人になった。
けど翼さんはずっと腕を私にくっつけている。
「プロポーズしたばかりなのにもう昔の男がちらついて安心できねーな。」
「昔の男?ただの先輩でしょ?
それに先輩結婚してるから大丈夫でしょ。」
さっきリングでサイズを合わせているときに先輩の左手の薬指に指輪がしてあった。
結婚して幸せなんだろうと私は思っていたけど知らない翼さんは警戒していたんだと思う。