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JUN(ジュン) ~メールの恋人~
第8章 決着
「卓也…どうして…どうして私を捨てたの?」
ベッドから降りて沖島が持参したバッグの中から
サバイバルナイフと車のキーを手にした。
「あなた…あなたは一体…?」
しなやかな体の動き…
それはどこから見ても女だった。
ただ股間にぶら下がっているモノが
その人物が男だと認識できた。
「さあ!!こっちへいらっしゃい!!」
美智子の腕を取り、
立たせると後ろから羽交い絞めにした。
そして喉元にナイフを突きつけた。
「きゃあー!!沖島さん!やめてください!!」
その美智子の金切り声に、
沖島は2,3度頭を振ると、
またあの爬虫類に目が蘇った。
「うるせえんだ!この淫乱女があ!!
おい!大杉!聞こえてるんだろ?
今、そっちに行ってやるよ。
これから、このお嬢ちゃんと
夜のドライブだ~~!!
へへへ…手出しするなよ~。
俺に歯向かったら、
このお嬢ちゃんの喉を切り裂くからなあ~~!!」
その声も立ち振る舞いも先ほどと違い、
元の沖島そのものだった。
ドアを開け、通路にでると
卓也が今にも飛びかかろうとしたが、
美智子の喉もとのナイフに気付くと
2,3歩後ずさった。
その脇を通り抜け、
裸の男女はエレベーターホールへと向かった。
卓也たちは、その後ろを付かず離れず
一定の距離を保ち着いてゆく。
「やめろ沖島!なぜこんな事をする!
俺が何をしたって言うんだ!!」
その声に、
エレベーターの呼びボタンを押した沖島が
再び2,3度頭を振った。