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JUN(ジュン) ~メールの恋人~
第4章 JUNと直接会うことにした
卓也がJUNと愛の交歓会の宴に興じている頃、
里中美智子は卓也の同僚である沖島照義と
市街のファミリーレストランでお茶を飲んでいた。
「いやあ~、奇遇ですねえ。
美智子さんとバッタリ出会うなんて」
「ほんと、ビックリしたわ。
後ろから急に名前を呼ばれて」
美智子がショッピングモール内にある料理教室から出たところで 沖島に呼び止められたのだった。
― 美智子さん?…里中美智子さんですよね? -
実家を離れ、一人暮らしを始めて
卓也に出会ってからは、 男友達に縁がなく、
男性に呼び止められるなんてほんとに久しぶりだった。
最初は「誰?」って感じだったが
―いやだなあ…忘れちゃいました?
沖島です。ほら、大杉の同僚の…―
彼から名乗ってもらうまで
完璧に沖島のことは失念していた。
「ああ、ごめんなさい。ご無沙汰してます」
「お料理の勉強ですか?」
さきほど出てきたドアの看板を見ながら
沖島は爽やかな笑顔で訊ねた。
「ええ…まあ…」
「ということは…大杉との結婚も近いわけだ?」
いえ、そういう訳でもないんですけどね。
なんて曖昧な答え方をしたが、
卓也からはっきりと
プロポーズされた訳ではないのだが
2人の雰囲気はゴール間近を醸しだしていた。
美智子としては卓也と7年間も付き合ってるのだから、
そろそろ長すぎた春に終止符を打ちたいというのが本音だった。