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JUN(ジュン) ~メールの恋人~
第5章 沖島の陰謀

さりげなくテーブルに置いてあった腕時計を見て
卓也は飛び上がった。
「やば!!もうこんな時間かよ!!!」
慌てて身支度を済ませ、
フロントに精算の電話をかけた。

『精算ならお連れのお客様が済まされました』

なんてこった!
ちゃんと抱いてあげれなかったうえに
ホテル代まで支払わせてしまったか!

それで、連れの女性は?

『はい、深夜にお帰りになられましたよ』

ということは
駅までの足もなくなっちまったってことだ。
フロントにタクシーを依頼し、
荷物を手にすると慌てて部屋を飛び出した。

タクシーに乗り込み会社へ遅刻する旨を伝えた。

『まったくなんてこった…
女を満足させてやれず、
ホテル代まで支払わせてとんだマヌケじゃないか、次回こそはちゃんと抱いてあげよう』

物思いに耽る卓也の顔を
運転手がニヤついた目でバックミラーで
チラ、チラと覗く。

『笑いたきゃ笑え!
そうさ、女に愛想をつかされて逃げられたマヌケさ!!』

卓也の不機嫌はピークに達しようとしていた。

会社に着くなり部長からは厳しい叱責を受けた。

しょげかえり、デスクに座ると
同僚の沖島が紙コップに入ったコーヒーを手渡してくれた。
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