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第8章 『飼い主』

どうしても落ち着かない奈緒は智輝の声を聞こうとスマホを取り出して動きが止まった。
今電話をすれば泣いてしまうかもしれない。
そうすれば必ず何があったのか聞かれる。
(智輝に電話なんて……出来ない……）
奈緒はそっと携帯を戻した。
(智輝に相談なんて……出来るわけがないっ……）
震えながら奈緒は自らの身体を抱き締めるように丸まった。

そう。智輝に相談なんて出来ない。
何故ならここまで奈緒を脅かす綾宮和彦とは、奈緒の『元ご主人様』なのだから。