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見習いドS彼氏
第10章 すれ違い
流石にこれ以上付き合わせるのは悪いと弥生を帰らせ、智輝は一人でじっと奈緒が現れるのを待った。
自分の姿が見られると奈緒に逃げられるかもしれないと思い、少し離れた場所からマンションの入り口を見張っていた。
何人か人の出入りはあったが奈緒は現れない。
それでも智輝は根気強く奈緒を待った。

いつまで経っても姿を見せない奈緒に焦りを感じた智輝は地下の引っ越し会社のトラックを探しに行ったが既にその姿はなかった。
途方にくれた智輝はそのままずっと奈緒がやって来るのを待った。
いつの間にか日は落ち、辺りは街灯で照らされる景色に変わっていた。

「梶野さん……」

耳に馴染み始めたその声の主は振り返らなくても誰だかわかった。

「まだ……荒井さんは……?」
「まだ来てないよ、西野さん」

疲れた笑いを浮かべて智輝は振り返った。

「……梶野さんなんにも食べてないと思って……これを……」

弥生は手に持ったコンビニのビニール袋を智輝に渡す。

「おっ、ありがとう。気が利くねー」
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