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見習いドS彼氏
第11章 羨望
「梶野さんっ!!」

大きな声がして智輝は声がした方に力なく視線を向ける。
そこには傘を差した西野弥生が泣き出しそうな顔をして立っていた。

「やあ西野さん。どうしたの?」

ずぶ濡れの智輝はわざとらしいくらいに平然を装って微笑む。

「どうしたのじゃありませんっ! 雨が降ってきたからまさかと思ってきてみたら」

弥生は智輝に駆け寄り傘に入れる。
そっと手を握ると血液が通ってないかのような冷たさであった。

「帰りましょう」

弥生は智輝の腕を引っ張った。
しかし智輝は動かない。

「梶野さん本当に身体壊しちゃいますよっ!」

更に力強く腕を引っ張ると智輝はその手を振り払った。

「ほっといてくれっ! 今来るんだよ、奈緒はっ! もう少しで来るんだよっ! 西野さんこそさっさと帰ってくれっ!」

ほとんど怒鳴り声で智輝が弥生に背を向けて歩き出す。

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