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見習いドS彼氏
第11章 羨望
「昔聞いたことがあるんだけどさ」
智輝は優しい声で弥生に語り始めた。
「奈緒って大学に入学した当時凄く冴えない子だったらしいよ。『田舎から出てきた標本のような小娘』って本人は称してたけど」
「そうなんですか。意外です」
曇ったレンズを拭きもせず弥生は聞いていた。
「だんだんと周りに感化され派手になっていっちゃったけど、今思えばあの時の方が可愛かった自信あるのになぁって笑ってたよ」
ここ数日で乾いた笑いが身についてしまった智輝だが、本人にその自覚はない。
寂しそうな笑いを浮かべるたびに弥生は悲しい表情を浮かべていた。
「だからさ。西野さんだってきっと見違えるように洗練されていくと思うよ。もっとも奈緒に言わせれば今のままの方が可愛いんだろうけどね」
「どんな話も全部荒井さん、なんですね。私を褒める時でさえ」
「あ、ごめん」
「ごめんじゃないですよ。デリカシーなさ過ぎです。でも、そんなところがすきなんだと思います。私」
曇りがほとんど消えたレンズの奥から芯の強そうな弥生の視線が見えた。
「ありがとう」
「別に褒めてないですからね?」
弥生の拗ねた顔は疲弊した智輝の心をほんの少しだけ暖める力があった。
智輝は優しい声で弥生に語り始めた。
「奈緒って大学に入学した当時凄く冴えない子だったらしいよ。『田舎から出てきた標本のような小娘』って本人は称してたけど」
「そうなんですか。意外です」
曇ったレンズを拭きもせず弥生は聞いていた。
「だんだんと周りに感化され派手になっていっちゃったけど、今思えばあの時の方が可愛かった自信あるのになぁって笑ってたよ」
ここ数日で乾いた笑いが身についてしまった智輝だが、本人にその自覚はない。
寂しそうな笑いを浮かべるたびに弥生は悲しい表情を浮かべていた。
「だからさ。西野さんだってきっと見違えるように洗練されていくと思うよ。もっとも奈緒に言わせれば今のままの方が可愛いんだろうけどね」
「どんな話も全部荒井さん、なんですね。私を褒める時でさえ」
「あ、ごめん」
「ごめんじゃないですよ。デリカシーなさ過ぎです。でも、そんなところがすきなんだと思います。私」
曇りがほとんど消えたレンズの奥から芯の強そうな弥生の視線が見えた。
「ありがとう」
「別に褒めてないですからね?」
弥生の拗ねた顔は疲弊した智輝の心をほんの少しだけ暖める力があった。