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第12章 トラップ

「お前なんかに話してもなにも解決しない」

留美はじっと見詰めながらそう呟いた。

「え？」
「顔にそう書いてありますよ？」

まいったなと頭を掻きながら智輝は持っていたカップのコーヒーを一気に飲み干した。

「解決しなくてもいいですから聞かせてください」

留美の言葉は強くなく、弱くもなく、智輝の心に染み入る響きがあった。
それは言い訳で誰かに聞いてもらいたかったというのが本音かもしれないが。

智輝はポツポツと奈緒の態度がおかしくなり、急に別れ話を切り出されく行方もくらませた話をし始めた。