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第12章 トラップ

「ああ、西野さんね。巨乳っすよね」

何か下卑たものを勘ぐったのか中村はにやりと笑う。

「あ、あの人って……いつ頃からこのマンションに？」

智輝の質問に中村は事も無げに即答する。


「半月前くらいに引っ越してきたンすよ。おっぱいでけーって驚いた」


もはや中村の言葉は半分くらいしか聞こえてなかった。
大学入学と共に引っ越してきて奈緒にずっと憧れていたという弥生の話とはまるで辻褄が合っていなかった。

そのとき背後から視線を感じ、智輝は慌てて振り返った。
智輝が振り返ると同時に何者かが逃げ出した。

「待てッ!!」

中村に礼も言わず智輝はその影を追いかけて走り出した。