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第1章 カミングアウト

「ごめん……智輝……」

思い詰めた表情で謝られ、智輝の脳裏には様々なことが瞬時に浮かび上がった。

『他に好きな人が出来たの……』
『生理が遅れてるの……』
『別れて欲しい……』

それらの言葉を想定し、身構えた。
しかし奈緒の口から出た言葉はそれらの想定を凌駕する衝撃の言葉だった。

「智輝……私、Mなの……それも、ドMなの……」
「は？」

予想外の言葉というのは聞き取りづらい。
智輝は奈緒が何と言ったのか理解するまでに数秒かかった。

「えと……奈緒はドM……なの？」

智輝が聞き返すと奈緒はこくんと頷いた。