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私は管理人
第8章 ホストの向井くん
「おっ!朝粥かあ。
こいつは胃に優しいからありがたいよ」
朝の食卓についた主人は
朝食に朝粥にありつけてご機嫌です。
「アチチチ…」
出勤時間が迫ってきているので
熱いお粥を頑張って胃袋に流し込んでいます。
申し訳ないんですけど、
主人の体の事を考えて朝粥を用意したんじゃありません。
毎朝、主人が出掛けるのと入れ違いに
朝帰りしてくる住人がいるんです。
ホストのお仕事をされている向井くんです。
派手なスーツとキンキンに染めた頭髪とは裏腹に
会えば必ず「おはようございます」と挨拶してくる礼儀正しい青年です。
お仕事がハードなのか
いつも青白い顔をしています。
おまけに吐く息も酒臭くて…
そんな生活をしていたら体に良いわけありません。
なので
わたし、お節介とは思いましたが
彼のために朝食を作ってあげることにしたんです。
それも胃に優しい朝粥を…
主人を送り出してから
今か今かとまちわびました。
そして駅の方からフラフラした足取りで彼が帰ってきました。
「おはよう♪」
わたしはとびっきりの笑顔で彼を出迎えました。
「…おは…うぷっ…!」
挨拶もそこそこに向井くんったら
人様の玄関先でリバースしちゃったんです。
「すいません…すぐにバケツに水を汲んで流しますので…」
「いいの、いいの。
そういうことも管理人の仕事ですから気にしないで」
わたしは植え込みの片隅からホースを引っ張り出して吐瀉物を流しました。