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隠れ湯… 秘湯の女将
第4章 揺れる心
そして、その場所に立った二人……

コン、コン、コン、
大島は、その鏡を叩いてみせた…

軽い音がするでしょう~
なんか、空洞があるような………

裏側が壁なら、もっと重い音がする筈です……
他の鏡との音の違いを確めて下さい…

楓は、他の鏡を叩いて見た……
明らかに、確かな違いを感じた……


この鏡の反対側は、自分の寝室があり、小さな小部屋があった……
そこには、本棚があり、主人の蔵書が保管されていた……
あの人は、本を読む事が好きで、亡くなった後も片付けず、そのままにして置いた……


楓は、その小部屋へと向かった……

改めて見ると、かなりの本があった……こんなにあったのかしらね~と思った…

そして、鏡があるだろうと思われる位置の本を手当たり次第本棚から降ろした…

すると………なんと、そこには……
窓のような空間が……
露天風呂の大島の姿が………見えた…



楓は、愕然として膝から崩れ落ちた……

あなた……なんて事を……全て見ていたのね………自身で慰めていた事も何度かあった楓………急に悲しくなった……


あの人の嫉妬深さが、そうしたのかしら……
可哀想な淋しい人なんだったのでしょう………
虚しかった……そこまでやらなくても…

楓は、暫く放心状態であった……
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