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おはようのキスからおやすみのキスまで
第1章 朝
 あからさまな挑発に渚は言葉を詰まらせる。好きな人の指先に翻弄されながら他の事を成すなんて、到底無理な話だ。そんなこと伊吹には全部お見通しで、結果がわかっていながらこんなことを言うのだから。本当に底意地が悪い。
 渚が抵抗の意思を弱めたとわかるや否や、伊吹の行為はますます勢いづく。敏感になった渚の乳首を指と指の間に挟み込み、ゆるゆると扱き立てては時折きゅっ、と強く摘まむ。その度に渚の身体はビクビクと波打った。彼女がひどく感じてしまう項をしゃぶるのも忘れない。
 それなりに長い付き合いゆえ、彼女の弱いところも好きな責められ方も、伊吹は充分に熟知していた。
「はぅ、ん……、ぁ、やんっ……」
 一方の渚はもう陥落寸前だ。休む暇もなく与えられる愉悦に眉根を寄せて、舌足らずに喘ぐことしかできない。呼吸も熱く乱れ始め、両股の間がうるむ感覚がより興奮を高めていく。
「やんねーの? ゲーム」
「……ッ、ぁ…ん……」
「俺の声聞こえてる?」
「や……んあッ…!」
 小刻みに喘ぐだけだった渚が途端に甲高い声を張り上げた。耳裏の付け根をぺろっと舐められただけで、痺れるような強い刺激が全身を駆け巡る。
「ほんと耳弱いよな」
「はっ……ん、ちが……う」
「違わないだろ。てか、どーすんのこれ? やらないなら電源切ってもいいよな?」
 中断したままの画面を見せられても、既に渚の興味はゲームから失せてしまっている。そもそも暇潰しにプレイを始めただけで、物語の続きが猛烈に気になるほどハマっているわけじゃない。そう訴えれば伊吹は低く笑った。その吐息が耳をくすぐり、渚はまたもやビクッと腰を跳ねさせる。
「……反応よすぎ」
「だって……」
「はいはい俺のせいね。これ、こっちに置いとくぞ」
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