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夢魔の半生
第8章 単身赴任先
 小さく手を上げて発言を求めるA子に真実子は笑みを向ける。口許は笑っていても目は熊でも一瞬で射殺す様な殺気に満ちている。こ、恐い。ある意味他人の男の大人の俺でも逃げたくなる程恐いのだ。張本人の未成年の小娘が耐えれるはずがない。悲鳴も上げれずヒィ~と息を飲んだままフリーズする。
 「コンバンワ。可愛い売春婦の皆さん。私はこの男の妻で三神真実子といいます。私の代わりに主人のシモの世話をしてくれて有り難う。」
 一文字毎に室温が2℃づつ下がっていく。
 「知ってるかもしれないけど現職のお巡りさんです。どうぞ宜しく。」
 ウェストポーチから取り出した警察手帳を提示する。
 「け、警察・・・」
 未成年二人の顔色が蒼白になる。売春、淫行の現行犯だ。言い逃れは出来ないし全裸では逃走も出来ない。完全にツミだ。
 「で?あなたは、ここで、何を、してたのかしら?」
 正座する唯一の成人を問い詰めると一志はガバッと額を床に擦りつけるように土下座した。
 「すまない。真実子。ほんの出来心なんだ。」
 「ほんの出来心で一度に二人の未成年を抱いたりしないわよね?」
 ごもっとも。更に言えば単身赴任中抱いた未成年の数は両手で余るそうだ。
 「でも、知らなかったわ。貴方がゲイを拗らせたロリコンだったなんて。」
 そう、探偵の調べによると中高と男子校だった一志は知らず知らずの内に男色に目覚めていたのだが成長するにつれ性癖を矯正せねばと苦悩した挙げ句女性に興味を持てる様にはなったが好きになる相手は某歌劇団の男役みたいなボーイッシュな人ばかり。それも女の匂いのしないスレンダー体型を好んだ。
 アラサーで女っ気がない息子を心配して親が持ってきた見合い話のなかで唯一男性的だったという理由で真実子と結婚したのだ。しかし、いざ夫婦生活をしてみるとバストは我慢できたが下半身を覆う剛毛と肥大したクリトリスは我慢が出来なくて新婚一周年を待たずにセックスレスになったようだ。まったく勿体ない話だ。
 まあ性癖なんて十人十色。なくて七癖だ。他人がどうこう言える問題ではない。
 だから他人の俺は口を開かない。今こいつを責める権利が有るのは他の女とは宜しくやってるのに三年間もセックスレスで放置されてた真実子だけだ。
 「ふ~ん。あなたのおチンチンってそんな形だっけ?三年も見てないから忘れてたわ。」
 
 
 
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