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夢魔の半生
第9章 アマデウス
 迷った末に唐揚げ定食にした。
 「すいません。ご馳走さまです。」
 仔狸ちゃんはハンバーグ定食を選ぶ。二人合わせて千円しない。こんな値段でよく潰れないものだ。大きな唐揚げ6っ個にサラダに味噌汁、白米、香物。出てきた見事な定食を前に呆れてため息がでる。
 仔狸ちゃんの話によると学生にはご飯の心配なんかしないで音楽に没頭して欲しいと学長が多額の予算を学食に注ぎ込んでいるらしい。
 長テーブルに並んで座り食事をとりながら他愛もない話で仔狸ちゃん、相模純恋(さがみ・すみれ)との心的距離を縮める。
 「純恋ちゃんはフルート始めて長いの?」
 「そうですね。小二からだからもう13年?」
 ちゃん付けで呼んでも嫌な顔一つしない。
 「小二でフルート?すごいな。俺が小二の頃なんてピアニカを人差し指一本でチューリップ吹くのがせいぜいだったよ。」
 テーブルの天板を示指でゆっくり押す真似をしてみせる。
 たどたどしい動きが余程可笑しかったのか純恋はポカポカと俺の肩を叩いて笑う。
 そろそろ良いかな?
 純恋が気楽にスキンシップをはかってくるのは生来の性格もあるだろうが半袖シャツの袖口から微かに漏れ出ている獣臭の効果もあるだろう。催淫フェロモンは微量なら異性の好感度を上げる効能がある。心の鍵を開け門扉を開かせる。そして性感を昂らせ周囲で一番好感度の高い雄である俺を求める。
 テーブルの下で周りに気付かれないようにズボンのファスナーを半分程下ろす。解き放たれた濃厚な獣臭が立ち上ぼり純恋の鼻腔に吸い込まれる。蒸れた異臭に噎せ不意に湧き上がった強烈な性感に半分意識を刈られた純恋はグッタリと体重を預けてくる。
 「大丈夫か?」
 わざとらしく声を掛けて周囲に急病人アピールしてからお姫様抱っこで抱き上げる。
 「君!悪いが医務室に案内してくれ。」
 突発的な異常事態に際した時、冷静且理知的な命令というのは絶大な力を持つ。
 声をかけた女学生は一も二もなく立ち上がると純恋の手荷物を持って俺の前に立ち早足に歩き出す。その後を追いながら俺の手は純恋の豊満な胸や張りの有る太股を撫で回し揉みまくる。
 肩口に押し付けた顔は上気し蕩けている。
 「ハアァン」
 催淫フェロモンを濃厚に含んだ獣臭を間近で吸い続け胸や太股を愛撫され純恋の口から小さな喘ぎ声が漏れる。
 「医務室もうすぐですから。」
 
 
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