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ノーサイドなんて知らない
第10章 幸せな時間
「えっ?」と言いながら、
私は既に涙を流していた。


熊野さんが落ち着いた声で、
「それって、兄さんの処に行きたいってこと?」と訊いた。


健(たける)さんは、
静かだけど落ち着いた声で説明してくれる。


「ママの病気、治したいから、
医者になりたいんだ。
アメリカだったら飛び級あるから、
努力すれば早く医者になれるでしょ?
伯父さん達、あっちの大学病院で脳外科医してるから、
僕もそこに入れるかもしれないし」


私は混乱して、涙が止まらなくなってしまう。


「もう、兄さん、お前には伯父さんだな。
伯父さん達には言ったのかな?」


「まさか。
パパとママがOK出してからじゃないとって思ったから」


「僕、家事もお手伝いしてきてるから、
向こうに行っても迷惑掛けないと思うよ。
それに、伯父さん達、子供が居ないからって、
小さい時から凄く僕のこと、可愛がってくれてたし。
ダメかな?」


そう言っている健(たける)さんの顔は、
一人前のオトコの顔だった。


「ママは寂しくて耐えられないかもしれないけど…」と言うと、

「大丈夫だよ。
ちゃんと渉(わたる)くんには、
ママを守るように毎日のように言ってるし、
優(まさる)くんには、渉(わたる)くんから言っておくように伝えてあるし」と言う。


熊野さんは、
「語学力はどうだろう?
ついていけるかな?」と言う。


「んー。
子供だから柔軟に対応出来ると思うけどね。
向こうで日本人学校に行く訳じゃないでしょ?
現地の優秀な学校とか、調べてみないといけないし。
こっちでアメリカンスクールに入って、
その後、アメリカに行くっていうのもありかも」

私は話をしながら、
頭の中を整理してみる。


「取り敢えず、夏休みにアメリカに行った時、
お兄様達に相談してみましょう。
その前に、zoomで話をしておいた方が良いかな?」と言うと、
私は健(たける)さんを抱き締めて髪を撫でる。


「本当にありがとう優しいのね?
ママ、顔は覚えられないけど、
一緒に居るだけで幸せなのよ?
でも…健(たける)さんがママの病気、
治してくれるなら、
もっと幸せになれるわね?
淋しいけど、ママも頑張る」と言うと、
健(たける)さんも身体を震わせて泣いていた。


そんな私達を更に抱き締めて、
熊野さんは鼻水を流しながら泣いていた。
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