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ノーサイドなんて知らない
第2章 ラグビーなんて観たことない
「手を繋いでみても良い?」と言われて頷くと、
熊野さんは指を絡めるように手を繋いで笑った。

「ちょっとこのままで居させて?
茉莉(めあり)の手、小さいね?
でも、なんか不思議としっくりこない?
手を繋いで違和感ないヒトは、
相性良いらしいよ?」


私は手の感触や声、喋り方を一つ一つ刻み込むようにしていた。

その記憶が、
顔を覚えられない代わりに、
熊野さんをきちんと認識する手助けになるから。


でも…。
どうして顔、覚えられないのかな?

そう思うと哀しくなってしまって、
涙が溢れてきてしまった。


「えっ?
ごめん。
嫌だった?」と慌てて私の涙を大きい指先で拭って、
心配そうに顔を覗き込む。


「ち…がうの…」
私は上手く説明出来そうになくて、
震えながら泣き続けてしまった。


熊野さんはフワリと私を抱き締めて、
背中と頭を優しく撫でてくれる。

無印のシャンプーの香りがした。
私のシャンプーと同じ香り。
それも記憶に刻み込む。


暫くそうしていると、落ち着いてきた。


「ごめんなさい。
どうして顔、覚えられないのかなと思ったら、
哀しくなってしまって。
簡単なことで、
誰でも出来ることなのに…」

「その分、色々なことで、
俺のこと、記憶しようとしてくれてるでしょ?
そうだ!
会った時に写真撮ろうよ。
毎回、初めましての気持ちで、
2人で撮ろうね?」


お尻のポケットから携帯を取り出すと、
腕を伸ばして写メを撮ろうとする。


「やだ。
泣いちゃったから、変な顔になってるでしょ?」

「ちょっと目が紅いけど…。
でも、茉莉(めあり)は可愛いよ?」と言って、
パシャっとボタンを押してから、
写メを見せてくれた。


「はぁ。
昨日も撮れば良かった。
そしたら、初めて会った日を残せたのに!」と悔しそうな顔をするのが可笑しくて笑うと、
急にもう一枚、写メを撮った。


「ほら。
笑顔も可愛い。
あー!
ハンバーグの写真も撮れば良かった!!」と悔しがるので、
「ついでに今朝のマックも?」と笑うと、
「ホントだよ!」と言って、
2人で声を上げて笑った。
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