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ノーサイドなんて知らない
第5章 蜂蜜みたいに甘い夜
帰宅した熊野さんのお夜食を出したり、お風呂に入ってからストレッチする毎日の流れを考えたら、
「一緒に住むのがベストじゃないかな?」と、熊野さんに言われる。


私の方は、お部屋は余っているし、
熊野さんのお部屋はワンルームだったので、
取り敢えず、必要なものだけ少しずつ運び込んで、
私の部屋で同居をスタートさせることになった。


「それなら、入籍もしたら?
ちゃんとして差し上げないと…」と、
熊野さんのお母様が報告に行った時に心配してくださったりして、
その日に婚姻届を出しに行った。
その日が私の誕生日でもあったのは、偶然のことだった。

そして、5月最後の試合が終わった後の6月に挙式をすることが、
トントンと決まってしまった。


「こういうのを、
電撃結婚って言われるのかな?」と、
熊野さんは笑う。


「式までは、妊娠しないようにしようか?」なんてことも、
真剣な顔で言った。


でも、一緒に住み始めて、
毎晩、一緒には寝ていたけど、
愛し合うのは大抵、
試合の終わった土曜日の夜から日曜日に掛けてだった。

リラックスして、朝寝坊をいくらでも出来るからというのと、
試合に勝って、茉莉(めあり)を抱くと、
次の試合も勝つというジンクスを作ったからというのが、
熊野さんの言い分だった。


恥ずかしかったけど、
お風呂も一緒に入るようになった。

いつも長風呂なのは、
試合のシュミレーションをしたり、
身体をほぐしたりしてるからだった。

私と一緒に入る時は、
お互いの身体を洗い合ったり、
肩甲骨とか届かない処をマッサージするようになった。


ベッドの上で、マッサージをしてくれることもあって、
真似してしようとすると、
「ダメダメ。
くすぐったいし、
俺、興奮しちゃうから」といつも笑って断られてしまった。


生理痛で物凄く具合の悪い処も見られてしまったけど、
痛くて苦しい時には背中やお腹を撫でてくれたり、
暖かい飲み物を用意してくれたりした。



ルーフバルコニーに置いてあるキャンプ用品を見て、
「これは?」と笑われたりもした。

「大きい地震の時に調理出来なかったでしょ?
だから、ここで自炊してたの。
あ、流石に焚き火はしないですよ?
警報が鳴るから」と言うと、
「じゃあ、今度、キャンプ行こうか?
俺、ソロキャン、好きで、良く行ってたよ?」と笑った。
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