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ノーサイドなんて知らない
第6章 引退、結婚とパパラッチさん問題
リビングのソファに、熊野さんと向かい合うように座って貰う。
「コーヒーとお紅茶、
どちらにされますか?」と言うと、
2人、「コーヒーで」と言うので笑ってしまう。
熊野さんは顎髭を掻いて、
カメラマンの岡村さんは頭を掻いた。
2人にはコーヒーをブラックで出して、
自分用には牛乳をたっぷり入れたカフェオレを作って、
熊野さんの隣に座った。
「びっくりしちゃいました。
作品しか観てなくて…。
岡村さんの写真だなんて、気がつきませんでした。
素敵な個展でした。
たまたま通りがかって、
ウィンドウのお写真観て、
そのまま吸い込まれるように画廊に入りました」
「そうだったんですか。
ありがとうございます。
実は画廊の奥に、俺、居たんですよ。
お2人にも気づいたんですけど、
凄く真剣に、
でも楽しそうに話をしながら観てたから、
声、掛けれなくて。
普通、お買い上げ頂いたら、
その場でご挨拶とか、するんですけど、
なんか、顔、出せなくて…」
「岡村さん、山、登るんですね?
俺も山、結構登りましたよ」
と、熊野さんが嬉しそうに言う。
「私は咳喘息あるから、
登山とかは無理で…。
羨ましいな。
でも、お写真で登った気持ちになれるかな?」と言うと、
2人は笑った。
「ここ数年、生活の為にって、
芸能人とか、熊野さんみたいなスポーツ選手とか、
追い回して写真を撮ってたけど、
なんか、嫌になっちゃって。
今回の個展は、
そうなる前に撮っていたヤツで、
これからはこっちの世界に戻ろうかなと思ったんですよ。
で、個展やってみて、
その成果が出たら、あんまり金にはならないかもしれないけど、
好きな写真を撮る仕事、やろうと思って」
「こんなに素敵なお写真撮れるなんて、
素晴らしい才能ですもの。
個展される時は、
お声、掛けてくださいね?」
購入した写真を観ながら私は言った。
「あ、これもどうぞ」と、
小さめの額装された写真を2つ、手渡される。
ひとつは、雑誌で使われていたものの少し角度が違う、
指輪をした2人の手元と真紅の薔薇が写ったもの。
もう一つは、多分、私と熊野さんが見つめ合って微笑んでいる写真だった。
「コーヒーとお紅茶、
どちらにされますか?」と言うと、
2人、「コーヒーで」と言うので笑ってしまう。
熊野さんは顎髭を掻いて、
カメラマンの岡村さんは頭を掻いた。
2人にはコーヒーをブラックで出して、
自分用には牛乳をたっぷり入れたカフェオレを作って、
熊野さんの隣に座った。
「びっくりしちゃいました。
作品しか観てなくて…。
岡村さんの写真だなんて、気がつきませんでした。
素敵な個展でした。
たまたま通りがかって、
ウィンドウのお写真観て、
そのまま吸い込まれるように画廊に入りました」
「そうだったんですか。
ありがとうございます。
実は画廊の奥に、俺、居たんですよ。
お2人にも気づいたんですけど、
凄く真剣に、
でも楽しそうに話をしながら観てたから、
声、掛けれなくて。
普通、お買い上げ頂いたら、
その場でご挨拶とか、するんですけど、
なんか、顔、出せなくて…」
「岡村さん、山、登るんですね?
俺も山、結構登りましたよ」
と、熊野さんが嬉しそうに言う。
「私は咳喘息あるから、
登山とかは無理で…。
羨ましいな。
でも、お写真で登った気持ちになれるかな?」と言うと、
2人は笑った。
「ここ数年、生活の為にって、
芸能人とか、熊野さんみたいなスポーツ選手とか、
追い回して写真を撮ってたけど、
なんか、嫌になっちゃって。
今回の個展は、
そうなる前に撮っていたヤツで、
これからはこっちの世界に戻ろうかなと思ったんですよ。
で、個展やってみて、
その成果が出たら、あんまり金にはならないかもしれないけど、
好きな写真を撮る仕事、やろうと思って」
「こんなに素敵なお写真撮れるなんて、
素晴らしい才能ですもの。
個展される時は、
お声、掛けてくださいね?」
購入した写真を観ながら私は言った。
「あ、これもどうぞ」と、
小さめの額装された写真を2つ、手渡される。
ひとつは、雑誌で使われていたものの少し角度が違う、
指輪をした2人の手元と真紅の薔薇が写ったもの。
もう一つは、多分、私と熊野さんが見つめ合って微笑んでいる写真だった。