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ノーサイドなんて知らない
第6章 引退、結婚とパパラッチさん問題
「これ、私と熊野さん?」と呟くと、
熊野さんが、
「そうだよ?
俺と茉莉(めあり)。
可愛く撮れてるな?」と言って笑う。
「本当にノーメイクなのに、
綺麗で可愛いですよね?」と言われて困惑してしまう。
「メイク、出来ないから」と苦笑いすると、
岡村さんは不思議そうな顔をする。
「この写真も、自分だって判らないし、
薫さんだってことも判らないし…」と言うと、
熊野さんが私の手をそっと握って、
岡村さんに説明してくれる。
「茉莉(めあり)は、
相貌失認っていう病気があって、
顔を全く覚えられないんですよ」
「えっ?」
「さっきも、声を聴いて、
初めて岡村さんだって認識出来たくらいで。
だから、マスコミに追いかけ回されるの、
俺以上に怖いと思いますよ。
声や仕草でしか、
他人を認識出来ないから、
同じ仮面被った人間に囲まれて、
何されるか判らない状況で居るんだから」
「やだ。
もうだいぶ慣れてるから、
大丈夫ですよ?
薫さん、心配し過ぎです。
でも、盲目の方と変わらないんです。
岡村さんは…。
なんか、渋々、
写真を撮ってる方って記憶したんですよ?
あんまり楽しそうじゃなかったです」
「まあ、確かに食う為にやってたからな。
なんか、自分が消耗していく感じがしてた」
「でも、こうやって、
空気や音や感情まで、
お写真に切り取れる物凄い才能があるんですもの。
好きなモノをたくさん撮って、
観せてくださいね?」
「熊野さんと茉莉(めあり)さんの写真は、
個人的に撮りたいけど」
「私なんて…」
「いや、茉莉(めあり)は、
死ぬほど可愛いよ?」と、
熊野さんが言うので笑ってしまう。
「でも私…。
写真に切り取られたら、
熊野さんのことも、自分の顔もどれだか判らないんですよ?」と言葉に出すと、涙が出て来てしまった。
「岡村さんが撮ってくださったこの写真を観ても、
自分と熊野さんが写っているって判らないんですもの。
でも、こっちの指輪を嵌めた指のカタチは、
認識出来るの。
本当に私、ポンコツですよね?」
黙って聴いていた岡村さんが、
「でも、周りの人とか、
将来、産まれる子供とかに観せる為にも、
写真、残した方が良いですよ。
俺、結婚式の写真、撮らせて貰いたいな。
追いかけ回して怖い思いさせたお詫びに」
と言ってくれた。
熊野さんが、
「そうだよ?
俺と茉莉(めあり)。
可愛く撮れてるな?」と言って笑う。
「本当にノーメイクなのに、
綺麗で可愛いですよね?」と言われて困惑してしまう。
「メイク、出来ないから」と苦笑いすると、
岡村さんは不思議そうな顔をする。
「この写真も、自分だって判らないし、
薫さんだってことも判らないし…」と言うと、
熊野さんが私の手をそっと握って、
岡村さんに説明してくれる。
「茉莉(めあり)は、
相貌失認っていう病気があって、
顔を全く覚えられないんですよ」
「えっ?」
「さっきも、声を聴いて、
初めて岡村さんだって認識出来たくらいで。
だから、マスコミに追いかけ回されるの、
俺以上に怖いと思いますよ。
声や仕草でしか、
他人を認識出来ないから、
同じ仮面被った人間に囲まれて、
何されるか判らない状況で居るんだから」
「やだ。
もうだいぶ慣れてるから、
大丈夫ですよ?
薫さん、心配し過ぎです。
でも、盲目の方と変わらないんです。
岡村さんは…。
なんか、渋々、
写真を撮ってる方って記憶したんですよ?
あんまり楽しそうじゃなかったです」
「まあ、確かに食う為にやってたからな。
なんか、自分が消耗していく感じがしてた」
「でも、こうやって、
空気や音や感情まで、
お写真に切り取れる物凄い才能があるんですもの。
好きなモノをたくさん撮って、
観せてくださいね?」
「熊野さんと茉莉(めあり)さんの写真は、
個人的に撮りたいけど」
「私なんて…」
「いや、茉莉(めあり)は、
死ぬほど可愛いよ?」と、
熊野さんが言うので笑ってしまう。
「でも私…。
写真に切り取られたら、
熊野さんのことも、自分の顔もどれだか判らないんですよ?」と言葉に出すと、涙が出て来てしまった。
「岡村さんが撮ってくださったこの写真を観ても、
自分と熊野さんが写っているって判らないんですもの。
でも、こっちの指輪を嵌めた指のカタチは、
認識出来るの。
本当に私、ポンコツですよね?」
黙って聴いていた岡村さんが、
「でも、周りの人とか、
将来、産まれる子供とかに観せる為にも、
写真、残した方が良いですよ。
俺、結婚式の写真、撮らせて貰いたいな。
追いかけ回して怖い思いさせたお詫びに」
と言ってくれた。