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ノーサイドなんて知らない
第6章 引退、結婚とパパラッチさん問題
「今日の記者会見が終わって、
皆さまの報道で、
一方的に私の顔が外に出たら、
今度はそれこそ、
一般の方が私に、スマホのカメラを向けるようになるかもしれないんですよ?
メイク落としたら別人だとは思いますので、
その辺りは大丈夫なのかしら?
でも、それ、とても怖いと思うのは、
普通の感情ではないでしょうか?
あまりにも追い回されて、
チームの方や実家にまで取材と称して貼りつかれたので、
今回、このような席を設けさせていただきました。
そのお陰で、この1ヶ月弱は追い掛けられることもなく、
チームの方にもご迷惑を掛けることもなく、
安心して過ごせましたことは、
感謝申し上げますが、
今後もどうぞ、そっとしておいてください。
お願い致します」と言って、
頭を深く下げた。


熊野さんが私の手をギュッと握って微笑みかけてくれたので、
私も手を握り返して笑った。


「言いたいことは、妻が全て言ってくれました。
俺の顔は載せてくれても良いですけど、
彼女の顔は絶対に載せないでくださいね?
もしも載ってたら、
申し訳ありませんけど、
法的手段、取らせて貰います。
それと、今後、取材とやらで周辺に張り付かれるのも、
勘弁してください。
単なる学生なんで」


「どうして、奥さんの顔、
載せたらダメなんですか?
綺麗じゃないですか?」


「一般人だからって…」


「でも、熊野さんの奥さんですよ?
公人みたいなもんでしょう?」と、食い下がる人もいた。



何を言ったら納得して貰えるんだろう?
そう思いながら、
私は再び、口を開いた。


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