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ノーサイドなんて知らない
第1章 ジェントルマン(クマ)との出会い
男性の一人暮らしにしては、
すっきりと片付いていて、
とても綺麗にしている。

シャンプーやボディタオルなどは、
多分、無印。
さっき借りた歯ブラシもそうだったし、
渡されたタオルなんかもそんな感じだった。

名刺には社名が入ってたから、
学生さんではない。

湯船に先に入るのは遠慮して、
シャワーだけお借りして、
ざっと浴室内をシャワーで流してから、
自分を拭いたタオルで水分を拭き取っておいた。

お借りしたTシャツとハーフパンツを直に身につけて、
脱いだ下着や服は小さく纏めた。

髪をドライヤーで乾かしてから、
「お先にありがとうございました」と頭を下げた。


「俺、本当に長風呂だから、
先に寝ちゃって良いからね?
あ、心配なら、
俺を縛るまで待っててくれても良いけど…」と笑って、
入れ替わりに浴室に行ってしまった。


私はぼんやり、
その後ろ姿を見ながら、
どうしたものかと考えていた。



1時間以上してから熊野さんはお風呂から出てきた。

「あれ?
寝てても良かったのに。
俺、もうちょい起きてるから、
寝てて?
あ、明るくて寝れなかったら電気消すよ?」

そう言って電気を消すと、
床でストレッチをしているようだった。

身体が大きいけど、
凄く柔軟性があるなと感心してしまった。

そんな様子を見ているうちに、
私はウトウト眠ってしまっていた。


そして、フワリと抱き上げられた感覚があって、
ソファからベッドにそっと寝かされていたのにも気が付かなかった。

明け方、咳が出てしまって、
苦しくて目が覚めてしまうと、
熊野さんが腕枕をしながら、
背中を撫でたり軽く叩いてくれてたけど、
本人は眠っているようだったので、
私もそのまま、またウトウトと眠ってしまった。


朝、目が覚めると、
私はまだ熊野さんの腕の中にいて、
びっくりしてしまって、
慌てて起きようとすると、
寝ぼけて引き寄せられてしまう。


「あの…熊野さん?
私…」と言いながら少しバタバタすると、
目を覚ましてくれて、
「うわ。
ごめん。
なんか柔らかいなーって思って、
無意識に…」と手を緩めてくれる。


「おはよ。
ソファからこっちに運んだら、
俺も眠くて力尽きちゃった。
でも、爆睡してたから、
何もしてないからね?」と笑った。


私は慌てて起き上がったけど、
凄く顔が紅くなってた。
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