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芦屋洋館秘話 ハウスメイドの献身ご奉仕
第4章  当主後継者 慶一

 有香が涙声で返事をした。 「はい。高校を卒業して愛育院を出る時に、<二人とも青山家のご縁で進路が決まってよかったね>と言い合って以来、10年ぶりと存じます。」

「僕は、シンガポールでお父さんから有香さんのことも聞いて驚きましたが、青山家のために誠心誠意の奉仕をしてこられた人ですから、これからも大切にしていきたいと思っています。」 慶一の言葉を引き取って、陽一が続けた。

「ぜひそうお願いしますよ。今日は夕食会で遅くなったのでこの位にして、さあ、慶一君と有香さんはもう部屋に戻りなさい。」

 部屋を出る慶一と有香を見送って、陽一は涼子を抱きしめた。涼子は泣きはらした目で陽一を見つめ、嗚咽しながら声をしぼり出した。 「ご主人様、こんな日が来るなんて、・・・有り難う存じます。」 その夜、日付が変わっても、寝室から涼子の喘ぎ声が途切れることはなかった。

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