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芦屋洋館秘話 ハウスメイドの献身ご奉仕
第5章 ハウスメイド 志保

食事が終わって、慶一は寝室に戻り、ソファーで米国CNN経済ニュースを見ていた。ほどなくドアがノックされ、有香が志保を伴って、いつものようにジャスミン茶の入った中国湯呑みとポットの載ったトレイを持って入室した。有香は、トレイをサイドテーブルに置くと、湯呑みの蓋を取り、膝をついて控えた。志保も、有香に並んで同じ所作を真似た。
有香が、淡々とした口調で、 「ご主人様、秘書さんから、明日から2日間、長崎にご出張と伺いましたので、今からシャツや下着類をパッキングしておきます。そのほかに御用はございますか。」 と尋ねると、慶一は、にこやかに 「それだけでいいですよ。有り難う。」 と答えた。有香は志保と一緒にクローゼットに入り、志保に手順を教えながら、シャツとネクタイを合わせて、手早くダンヒルのボストンバックにパッキングし、寝室に戻った。
有香は、 「それでは、このバッグは、明日お迎えの秘書さんにお渡ししておきます。私はこれで失礼します。志保さんは残って、ご主人様のお着替えやお風呂のお世話を、よろしくお願いしますよ。」 と言い置いて、慶一と志保に軽く会釈をして退室した。
取り残された感じの志保が、ソファーの脇にぎこちなく膝をついて控え、緊張した声を出した。 「ご主人様、お着替え・・・あの・・・すみません、有香さんに教えてもらった手順を思い出しているんですけど・・・今日初めてだから不慣れで。有香さんと朝から一日ご一緒して、とても優しくしていただいて、今だって私のこと思いやってくれて、わざと慶一さんに事務的に接していたんだと思います。あれ、私、慶一さんに何を言ってるのかしら。・・・すみません。落ち着いてご主人様とハウスメイドのモードに切り替えなくちゃ。」

