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芦屋洋館秘話 ハウスメイドの献身ご奉仕
第5章 ハウスメイド 志保

2ヵ月後、青山家洋館に5月の薫風が吹き抜ける日、慶一の寝室のクローゼットでは、志保が涼子から、メンズスーツの着こなし、コーディネートの基礎を教わっていた。
「一番大切なことは、その日の天気や、会社のご用事に合わせて、快適に過ごせるようにという思いやりよ。その上で、スーツとシャツ、ネクタイ、靴のバランスをとるテクニックがあってね、・・・」 志保はメモを取りながら必死に聞き取っていた。「それと、秘書さんから伺うご予定の中で、フォーマルな場がある日は、スーツの柄、シャツカラーの形や、ネクタイの色に決まりごとがあってね・・・。」
そこへ、寝室の掃除を終えた有香が入ってきた。 「涼子さん、有り難うございます。コーディネートは難しくて私もまだまだだけど、志保さんは、基本的なことはもう一通り大丈夫と思うので、そろそろ、ご主人様のお世話には一人で入ってもらおうと思います。私と交代制で。」
「それがいいわ。ご当主様も、志保さんの働き振りをそれとなく気に掛けてらして、いい子が来てくれたと、それはそれはお喜びなのよ。」
志保は、 「有り難う存じます。まだ気遣いが足りなくて、あとで気がついて悔しいなと思うことも多いんですが、一所懸命お勤めして参ります。」 と答えて、二人に深々とお辞儀した。
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