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ホップステップ
第6章 投げる幸子
「さっちゃん、弓子です。退院おめでとう。彰に迎えに行くように頼んだから。」

朝起きると弓子から留守電が入っていた
タクシーで帰るつもりだったので
彰が来てくれるなら助かる

幸子はもう、彰との喧嘩はどうでもよくなっていた
今なら素直になれると思った

窓口で退院手続きをする
松下が手術室に運ばれてゆくのが見えた
奥さんが見送っている
幸子は遠くから祈ることしかできない
生きてね。まっつん


待合室で待っていると

「あ、いたいた~!もう降りてたんだ♪」

迎えに来たのは彰ではなく
彰の姉で誠の妹の恭子だった

「彰からさあ、急に幸子ちゃん迎えに行けって連絡来てさぁ。」

幸子は心の中でため息をつく
この元小姑が前からどうも苦手だった
どうして彰は来てくれないのだろう
ばっちり避けられていると思った

来てもらって文句を言うのもなんだが
詮索されたくなかったので
とっとと連れて帰ってもらおうと踏む

「でもさぁ、元同僚のバイクとか普通乗る?もしかして恋仲だったとか?」

始まった
詮索だ
この人に言えば皆に伝わる
面倒臭い極まりない
早く帰らなければ
しかし恭子は引かない

「あ、お腹すいたでしょ?快気祝いにご馳走させて♪」

「家の郵便物とか気になるんだけど、、」

幸子の話も聞かず恭子は先に駐車場にいってしまう
骨折してなければ一人で返ることもできたが
今は荷物もある
仕方なく恭子の誘いに乗ることにした


カレー屋に入る

「彰と喧嘩したの?」

「うん。。てゆうか彰が一人で怒ってるっていうか。」

病院食から開放されて久々に食べるカレーは美味しい
幸子はばくばく凄い勢いで食べた

それからも永遠と恭子の自慢話が続く

「昇ったら毎晩求めてくるのよぉ。困っちゃうよねぇ。」

出た旦那自慢
だからどうしたと幸子は思う
やりたきゃやればいいじゃん

「うちのケリーちゃん、もうすぐ5歳なのぉ。可愛くない?」

はいペット自慢
写真まで見せられる

幸子はカレーを掻き込む

「恭子ちゃん、おかわりしてもいい?」

「え、まだ食べるの?」

渋られる
ご馳走する言うたやん

「もしかして、デキたんじゃない?あたしもさあ、一人目の時はさぁ、やけに辛いものが食べたくてさぁ。」

つ、疲れた
誰か助けて
聞いてもないマタニティライフの伝導が始まる
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