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ホップステップ
第3章 おかえりアキラ
「あきらああああ!」
 
幸子は思わず抱きついた

「急に居なくなっちゃうんだからあ!」

「ただいま幸子。」

彰に頭を撫でられる
そして尻まで撫でられる

「垂れた?」

「うるちゃい。」

彰のほっぺたを両手でつねった

「相談ってなんだよ?」

「それがさ、」

話そうとすると
インターフォンが鳴る

「母ちゃん帰ってきたかも、、」

「えっ。」

幸子は慌てて2階の部屋に隠れた
誠と結婚して居た頃良く遊びに来た家
お義母さんのお煮しめ美味しかったなあ

そしてここは誠の部屋のはずだが
なんだか家具の配置が変わっているような気がする

「ふ~。母ちゃん下にいるから静かにしろよ。」

彰が部屋に入ってくる
どうやら誠が使っていた部屋に彰は住んでいるらしい

「ね~何であたし彰と結婚しなかったんだろうね。」

「知らねーよ。」

彰と机を挟んで床に向かいにすわる
バナナの形のクッション、誠が使ってたやつだ
幸子が昔つけてしまったコーヒーの染みがある

「てゆーか帰ってきたなら、会いに来てよ。」

「恋人かよ!」

確かに私たちは約束した関係ではない
それでも帰国したら彰は真っ先に自分に会いに来ると思ってたのに

「行ったよ。会いに。でもお前が男の車から降りるのが見えた。」

三原に送ってもらったあの日彰は近くに居たらしい
幸子は胸が痛む
せっかく会いに来てくれたのに

「ごめんねアキラ。」

「謝るなよ。俺たち何でも無いんだろ?」

幸子は黙る
そこまできっぱり言われると悲しい
彰はかけがえのない存在だ
離婚してげっそりしていた幸子を再生させてくれた
彰の作ってくれた肉じゃがを思い出す

「彰は、大切な存在。この関係に名前は付けられないわ。」

「都合の良い男か?ふざけんな。」

どうして彰が怒っているか分からない
私たちが何でもないのなら
他の男の車に乗ってても私の自由じゃない?

つい、二人とも声が大きくなっていた
その時ドアがあく

「やっぱりさっちゃんだったのぉ。」

彰と誠の母、弓子が入ってくる

「ご無沙汰してます。」

幸子が旅館の女将ばりに床に三つ指着いて頭を下げる
誠と別れてからも弓子は時々幸子に連絡をくれていた

「バナナパウンドケーキ作ったの♪下で食べよう?」

これ以上彰と言い合いをするのも嫌だったので下に降りることにした
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