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私じゃなくても
第2章 溢れる涙
でも
好きなだけ泣けるわけじゃない。
泣いてる私に抱かれたままの千華が
目を覚まし
そしてまた
ぐずり始めたのだ。
あぁ…
泣くことも自由にできない
これが現実。
私は
止まらない涙を手で拭いながら
部屋の中へ移動し
重いバックを床に置くと
泣き始めた千華をソファに寝かせて
急いで手を洗った。
そしてまたすぐ
千華を抱き上げて
Tシャツをたくしあげると
固くなってしまった胸を
千華に差し出した。
「お腹…空いてたよね
千華…っ…大丈夫?
もたもたして
なかなか病院行けなくてっ…
ごめんね…っう……千華……」
涙の理由は
ひとつじゃない
と、思う。
手際の悪い自分が情けなかった。
こんな時に一人で不安で
そんな時に早瀬さんの優しさが
胸に突き刺さったのもある。
久しぶりに
誰かと話した
嬉しさもあった。
けどとにかく…
とにかく私は
久しぶりに
ポロポロと涙を流していた。
生後二か月の千華に
母乳をあげながら。