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私じゃなくても
第2章 溢れる涙
side 早瀬


千華ちゃん
大丈夫やろうか…

それにしても
ほんま静かやな


ワンちゃんを送り届けて部屋に戻ると
俺の部屋(仮住まい)は薄暗く
シン…と静まりかえっていた。

急に一人きりとか
…寂しいやんけ。

それから
隣の部屋が気になりながら電気をつけたけど
なんやテレビをつけるのは
気が引ける。

千華ちゃんがまた起きたら…と
全てが気になって
仕方がない。

まぁ…見たいテレビがあるわけやないし

と、俺はテレビをつけずに湯を沸かし
カップ麺を腹に収めた。

ビールを飲みたい気持ちもあったけど
もしも夜に運転することになったらあかんしと我慢することにした。

世の中のパパさんは
ビールも我慢せなあかんとか
大変やなぁ。

あ、いや
ママさんやてそうや。
酔うてては
子供の世話
でけへんのやから。

あー…確か
姉貴もそんなこと愚痴ってたなぁ。
母乳あげてる間は一切
酒を飲まれへん!って。

まぁいずれにせよ
とにかく子育ては
大変っちゅうことや。

さて…
ちょっと外の空気でも吸うか。

ヨイショ…

俺は
静かな部屋からベランダに出て
これまた静かな
夜空を見上げた。

あ〜…
星とか見上げたん
いつぶりやろ。

ここだけ
時間が止まってるみたいや。

と、思うたその時やった。

なんや隣のベランダから
足音が聞こえて
そしてその後に
「はぁ…」と
ため息のような音が聞こえてきた。

もしかして…
ワンちゃんやろうか。
いや、ワンちゃんやろう。
ワンちゃんしかおらへん。

ため息とか…
なんや
可愛そうになってくるわ。

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