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私じゃなくても
第2章 溢れる涙
でも
ここで泣いたりしないように
私はグッと涙を堪えた。

「あ、えっと、はい、好きです。
まだあったかくて
お腹すいてたから
ほんとに美味しくて」

なんとか
誤魔化せたかな…泣きそうなこと。

「ほなちょうど良かった。
しっかり食べや。
千華ちゃんが寝てる間に」

そんな優しい言葉
聞かせないで。
また涙が込み上げてきちゃう。

「ありがとう」

このまま話を続けたら
涙声になってしまいそうで
私は
それから無言で
たこ焼きを頬張った。

そして
ちょうど半分を食べ尽くすと
たこ焼きの蓋をしめて
早瀬さんの顔を見上げた。

「ご馳走様」

「もうええんか?」

「はい。
早瀬さんの分
無くなっちゃうし」

「俺はええねんで?」

「いえ、もう、ほんとに」

さすがに
これ以上もらうのは
申し訳ないし恥ずかしい。

「奥村さん」

「はい」

「ちゃんと食べてる?」

「え?」

「なんや疲れてるみたいやし
もしかして
晩御飯食べてないんちゃう?」

晩御飯?
さっき食べたパンは
何時に食べたんだっけ。
あれは、晩御飯だったのかな……。

「少し、食べました。
多分」

「多分て…」

「千華が寝てる間に
やりたいことが沢山あって
ご飯はゆっくり食べてなくて
だから
何時に食べたのか忘れちゃって。
あ、でも食べました。
ほんとに。
あ、千華、ありがとうございました。
もう私が抱きますね」

「いや」

「え?」

「泣いてるわけやないから
もうちょっと頑張るわ。
せやから
俺が代わりできてる間は
ゆっくりしたらええ」

ゆっくりだなんて…
そんな言葉聞いたの
いつぶりだろう。

「で、でも」

「ええねん」

「……」

「お節介やったらごめんな?」

「そんな…」

お節介だなんて
思ってない。

ただ
優しい……
早瀬さん
優しいなって……

「このくらいしか
俺にはでけへんけど」

「早瀬さん……」

早瀬さんが
優しすぎて…

「けど
奥村さんが嫌やったら
もう…帰りますか?」


私は

早瀬さんのその言葉に

首を横に振ってしまった。
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