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私じゃなくても
第3章 友達のライン
それにしても……
奥村さん
ちょっと冷たいよなぁ。
千華ちゃんおるのに
荷物をワンちゃんに
任せるとか。
ワンちゃん可愛そうやんけ。
それに
晩飯は家で食べる言うてたけど
それ、多分
ワンちゃんが作るんちゃう?
荷物の中に
大根とか色々入ってたし。
千華ちゃんの面倒みて
疲れてんのやから
お前が作れっちゅうねん!
なんや
ムカつくなぁ…
全部
俺の勝手な想像やねんけど。
それから俺は
夜になるまで
なんや機嫌が悪くてたまらんかった。
飯、食うてても
ワンちゃんが気になるし
駐車場に奥村さんの車見つけると
それはそれで
ムカつく。
けど
挨拶行く言うてもうた手前
行かなあかんし。
あ〜〜
なんやねんもぉ〜〜
と、一人でウダウダしてる間に
時は経ち
挨拶行かなあかん時間になってもうた。
しゃあない。
一回だけやし
気乗りはせぇへんけど
行くか。
それから俺は
重いこしをあげ
奥村さんの玄関の前に立った。
中から
千華ちゃんの泣き声はしない。
ノックがええやろうか…
いや
奥村さんおるんやから
会話してたら気づかへんかもしれん。
と、俺は
インターフォンを押した。
すると
「はーい」
中からはワンちゃんの声。
「早瀬です」
「あ、はい!
タカくーん、早瀬さーん」
た、たかくん?!
奥村さんのこと
そんな風に呼んでのか。
ガチャ
ドアが開き
顔を出したのはワンちゃん。
なんと
ワンちゃんは
抱っこ紐?で
千華ちゃんを抱っこしていた。