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私じゃなくても
第4章 秘密のはじまり
え、うそ!ベランダ?!!
驚いて口元を押さえて
耳を澄ましてみると
確かに
少しだけ足音がする。
ど、どうしよう。
声をかけた方がいいのかな…
だ、ダメダメ
そんなことしたら
早瀬さんがベランダから身を乗り出して
私に話しかけちゃうかも。
お風呂上がりで
だらしない格好だし
顔も見られたくないのに。
だから私は
声をかけずに
急いでメッセージを送った。
『驚きました。
ベランダに出たりして
大丈夫なんですか?』
すると
ベランダの向こうから
早瀬さんの足音が聞こえてきた。
そしてその音は
ゆっくり
私の方へと近づいてくる。
サンダルを
少し擦りながら
歩くような…そんな足音。
や、やだ
私
ドキドキしてる。
そして
その足音が止まると同時に
また
メッセージが届いた。
『もう大丈夫。
さっきはありがとうな。
美味しいもん食べて薬飲んで
お礼のメッセージ送る間もなく
爆睡してもうて
お礼が遅くなってごめん。
無茶苦茶元気になった。
ありがとう』
メッセージがとても気になるけど
私は近くにいる早瀬さんが気になって
仕方がない。
だって
早瀬さんはきっと
私と早瀬さんの部屋のベランダを遮る
このボードのすぐ向こうに居るんだもの。
と、返信もせずに
立ち尽くしていると
そのボードを
軽くノックする音が聞こえた。
コンコン…
え、どうしたらいいの?
メッセージ返せばいい?
どうしよう。
どうすればいい?
何もしなかったら
早瀬さん顔を出しちゃうかも。
じゃあ
と、とりあえず…
コンコン…
私は
小さく
そのボードをノックして答えた。
すると
ボードの向こうから
クスッと
早瀬さんの笑う声。
やだ、私
変なことしちゃったかも。
あ、また早瀬さんから
メッセージ…
『おもろいなぁ。
千華ちゃん寝てんの?』
『はい』
『ちょっとだけ
メッセージで話さへん?』
『はい』